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Life about Melbourne and Ito
Tetsuta's Blog
メルボルン暮らし、伊東暮らし
豪メルボルン在住の筆者渡辺鉄太がメルボルンと静岡県伊東市の二股くらしについて書きます


カウラまで (2回目):
ワンガラッタからカウラまで、ひとっ走り ワンガラッタからカウラまで400キロ、およそ4時間半のドライブ。オーストラリアは平らな大陸ですが、自動車で地表に張りついて走っていくと、平らな大地にも起伏があることが分かります。時速100キロで走っていくわけですが、僕の古いスバルにも速度コントロールが付いているので、アクセルから足を離しても車は同じ速度で勝手に走ってくれます。そうすると、大地の起伏もまるで海のうねりを船で乗り越えていくような気分。 ワンガラッタを朝7時に出発、ハンドルを軽く握って車を飛ばしていたら、昼過ぎにはカウラへ着いてしまいました。メルボルンとシドニー間のヒューム・ハイウェーは道が良いので、400キロのドライブも楽ちんです。早速日本庭園へ向かいます。曇りなのに結構暖かく、まずは外のテラスでコーヒーを飲みながら、素晴らしく手入れの行き届いた庭園を眺めました。明日の紅葉祭に備えて、庭園のスタッフや庭師がテントの設営などに走り回っています。コーヒーを飲むと支配人のシェーンさんが庭を一周案内してくれました。12エーカーもある日本庭園に来た
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カウラまで (1回目)
2021年5月7日 ニューサウスウェールズ州のカウラという町まで行ってきました。カウラはメルボルンから真北に700キロほど、車で9時間。シドニーからも西へ300キロ、4時間かかります。 (Yarra Valley) カウラは人口1万人ほどの田舎町で、行ったのは初めてです。そこまで行った理由は、カウラにある日本庭園で行われる紅葉祭りに招かれ、5月5日「こどもの日」に紙芝居をすることになったからです。私は「オーストラリア紙芝居協会」というグループに属していて、時々学校や図書館に招かれて紙芝居をすることがあります。今回は、地元の子どもたちに英語で紙芝居を行って欲しいという依頼でした。 カウラにどうして日本庭園があるかと言うと、ここには第二次対戦中に戦争捕虜の収容所があった場所で、日本やイタリアの捕虜が入っていたことに縁があるからです。1944年8月5日、収容所から日本兵捕虜が集団脱走を試み、230名余りが命を落としたという悲しい歴史があります。その230名はカウラに埋葬されましたが、戦後もカウラのオーストラリア在郷軍人会が墓地の管理を引き受けて
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メルボルンで医者通い
2021年4月25日 オーストラリアでは、昨年コロナのパンデミックになってから医者に行く人の数が減って、癌や心臓病などの重病の発見や治療に遅れが生じていると度々の報道がありました。 感染を恐れるあまり家から出たがらない人たちが増え(特にお年寄り)、加えて病院やクリニックも感染対策のガードが固くなり、医者に行きにくくなったという人が多いのだと思われます。 じゃあ、私自身はどうだったかと振り返ってみると、昨年来メルボルンでもコロナ感染者が増え始めてロックダウンも2、3回あったにも関わらず、結構足繁く医者に通っています。来年還暦だし、それなりに医者に行く用事が近年は増えつつあるのが理由ですが、ずっと家で仕事をしているので、医者でも良いから外に出たいというのが私の本音です。その上、もしかして医者好きな性分なのかも。幸い、重い病気には今のところ無縁ですが。 それで特にコロナ騒ぎになってから気がついたのですが、私は日本育ちで日本の医療に親しんで育ったにも関わらず、もう25年もオーストラリアにいるせいか、すっかりこちらの医療システムが心地
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ジーロンでテングダイを釣る
2021年4月12日 秋休み。何度か以前書いたブログにも登場してもらいましたが、ジーロンの釣り師K松さんに 「釣りに来ませんか?」と誘われたので、2ヶ月ぶりくらいで釣りをしに行きました。ジーロンまでは、メルボルンの東側の我が家からは西へ向かって車を飛ばして2時間ちょっと、距離にして130キロほどです。珍しく早起きして、早朝のプリンセスハイウェーをひた走りました。 2時間でジーロンの先のベラリン半島に到着。K松さんは地元なので、とっくにポイントに到着して自慢のフカセ釣りの竿を垂らしています。「何か釣れますか?」と尋ねると、「アジが少し釣れました」との答え。私も早速竿を垂れました。天気は、風もなく、夏みたいな青空が広がっています。今日は気温が30度まで上がる予定で、秋というよりは夏の気候です。遠くの浜辺では学校が休みの子供たちが遠浅の浜で泳いでいます。今年の夏は涼しかったので、今頃夏がやってきたみたいな気分。 「こんな晴れていると、逆に釣れないですねえ。ちょっと曇りくらいが一番いいですよ」とK松さん。私とK松さんは古い付き合いで、知り合っても
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秋晴れなので、タラワラ美術館まで
2021年4月3日 メルボルンはイースター、復活祭の四連休です。しばらく雨ばかり降っていましたが、この連休は秋晴れが続きました。 連休の真ん中の土曜日、メルボルン東の郊外ヒールスビル近くにあるタラワラ美術館へ行くことにしました。シティに住んでいる娘も連休で帰って来ているので、妻と娘と3人で出かけまし た。今回はタラワラ・ビエンナーレ展が開催されていて、実は妻の作品も展示されているので楽しみです。娘と妻はせっかく出かけるのだからと、少しお洒落をしていますが、私は普通のポロシャツで出かけました。 途中のヤラグレンという田舎町で、チーズを作っているヤラバレー・デイリーというデリカテッセンに寄って早めの昼ごはん。 https://yvd.com.au ヤラバレーにはワイナリーがたくさんあって、酒飲みには楽しい場所ですが、僕は3年前に酒をやめたので、ワインにはもう縁がありません。ここら辺りでは近年はワインだけでなく、地ビールやジンなども作っていて、まだ酒を飲んでいたら酒蔵を訪ねて歩くのもさぞ楽しかったろうにと少し残念ですが。 ヤラバレー・デイリーは
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なるべく距離を開けてください
2021年3月28日 土曜日、久しぶりに電車でメルボルンのシティに出ることにしました。1時間だけの旅ですが、電車には滅多に乗らないので楽しみでした。ビクトリアマーケットに古本市が出るというので、冷やかしに行くことにしました。 久しぶりに外出して気晴らししようと思ったのは、自分を慰めるためと言ってもいいかもしれません。実は今週、ちょっとした出来事が二つあったからです。 一つは数日前、歯医者で奥歯を抜いてインプラントを入れたことです。「30分くらいで終わりますよ」と歯医者は言ったのですが、倍の1時間くらいかかりました。最初に問題の奥歯を抜きましたが、ドリルが「キーン!」と脳髄を貫くようなすごい金属音で、思わず「ぎゃー!」と絶叫しそうになりました。その次に抜いた後の骨を削るドリルもすごくて、「ガリゴリ、ゴリゴリ!」と振動が激しく、あたかも削岩機を口に入れられたように頭蓋骨全体と脳味噌がブルブル震えました。痴呆症になったらどうしようと心配になったくらいです。おまけに、ちょっとした海外旅行ができるくらいの高額な請求書も加わり、終わった後は魂が抜
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郵便受けの未来
我が家は、メルボルンの東側、ベルグレーブの町にあります。ここの家に引っ越してからもう 20年以上経ちました。引っ越してきた時なぜかちゃんとした郵便受けがついてなかったので、自分で作りました。それが20年経ったらペンキが剥がれ、板も虫食いでボロボロになったので、昨日作り直してペンキを塗りました。この20年間にはインターネットが普及し、もうちっとも手紙を書かなくなりましたが、それでもまだいくらかは郵便が来るので、まだ郵便受けはなくせません。 20年経った郵便受け この間、近所を歩きながらいろいろな郵便受けを観察しました。なかなか工夫を凝らした楽しい郵便うけもありましたが、仕方なくそこにある、そんな感じの古びた郵便受けも増えた気がします。古びた郵便受けからは、愚痴やら不平が聞こえてくるような気がしました。「いつも送られてきた絵葉書はどこに行ったんだ?きれいな絵葉書を見るのが楽しみだったのに!」、「手紙や誕生カードはどうしたのかしら?娘も孫も何も送ってくれないわ」、「以前は銀行からの通知や電気代の振込用紙なんかも定期的に来たのに、それもこない。みんなイン
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タイムブック・セラー:過ぎ去った時を売るメルボルンの古書店
2021年3月3日 前回は、クレズウィックという田舎町に住んでいたサイモン・マクドナルドという詩人の伝記について書きました。 Time Out of Mind (未邦訳、仮題『記憶の中のあの頃』)という本ですが、この本は、あるアメリカの古書店のサイトで見つけました(Amazonじゃありません)。メルボルンの僕が、オーストラリアの本をアメリカの書店サイトで買うのも妙ですが、それでも注文したら、送ってきたのはメルボルンの古書店でした。何だかすごい回り道の上、アメリカの書店にコミッションだけ払って損した気がしたので、今度から直接このメルボルンの書店から買うことにしました。メルボルン のタイムブック・セラーという古書店です。古い本を「タイムブック」と呼ぶのも洒落ていますね。 https://timebooksellers.com.au/index.html タイムブックセラーの倉庫 調べてみると、タイムブック・セラーは、うちから車で1時間もかからないソマービルという町にあることが分かりました。オーストラリアの歴史関係の本を専門においているよう
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思いついて、クレズウィックまで行ったこと
2021年2月28日 昨暮れ、ロックダウン中にサイモン・マクドナルドと言う詩人(1906−1968)の伝記を読んでいて、その舞台となっているメルボルン 西方のクレズウィック(Creswick)という田舎町に行ってみたくなりました。 Time Out of Mind (日本語仮題『思い出のあの頃』ヒュー・アンダーソン著)という本です。このサイモンさんは、詩人と言っても実は田舎の貧乏暮らしだった人で、クレズウィック周辺のパブでアイルランド民謡を歌ったり、おじいさんから聞いた民話を語ったりして酒代を稼ぎ、それ以外は、畑でジャガイモを堀り、廃坑を漁って金探しをしたりしていた仙人のような人でした。この本は、その人生を郷土史家が聞き書きしたものですが、その口調があまりに面白かったものですから、引き込まれて読んでいたのです。 12月、外出規制も緩くなったので、僕はメルボルン東側の我が家から170キロほど西方のクレズウィックに向かいました。クレズウィックはバララットと言う大きな農業集積地の町の近くで、その辺には日本の製粉会社の工場なんかもあります。メルボルン
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「メルボルンあちこち日記」を始めるにあたって
2021/02/26 2021年2月末。「メルボルンあちこち日記」と言うブログを始めることにしました。何年か「メルボルン薪割り日記」 http://makiwarinikki.sblo.jp と言うのを書いてきましたが、これはやめることにしました。なぜやめるかと言うと、まず、文字通り、薪割りをもうほとんどしなくなったことがあります。「五十肩」と言うのか、右肩の痛みが繰り返すようになり、薪割りを楽しむ心境ではなくなったからです。(治療を開始したので軽快してくれることを願っていますが。)それから、「薪割り日記」で書いてきた文章がけっこう重たくて、分量も小説的な感じで長かったから、書くのが大変になってきたせいもあります。反響があればあるほど、面白いものを書きたくなり、あまり頻繁には文章をアップロードできなくなってしまったというジレンマに陥ったのでした。 その上、私は、大きな災害が起きると、無口になってしまい、ブログにも何を書いて良いか分からなくなる性質があります。3・11の震災があった時も、私はまるで貝になったように無口になり、ブログにも大したこと
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危機は訪れ、去っていく
2020 2月14日 (58歳誕生日) メルボルン郊外の秋。まだ緑が濃い 先日の夕方、僕は、焼売を蒸していた。なぜ?と問われたら、それは焼売を作ったからに他ならない。なぜ焼売を?と問われたら、それは17歳の息子が食べたいと言ったからだ。 焼売など買ってくれば良いと思う人もあるだろうが、メルボルンの町外れの我が家から焼売を買いに行くには、かなりの遠出になる。電車で1時間、車でも45分ほどかけて、中国系の住民が多く暮らすボックスヒルくらいまで出ないと焼売は手に入らない。 だから焼売は作る。作ってみれば意外に簡単だ。玉ねぎを多めにみじん切りにし、それを豚ひき肉と混ぜる。エビを包丁で叩いて練り込んでも美味しい。それを焼売の皮に包み込むのだが、包み方も、2、3回やれば結構慣れてくる。こうやって作った焼売を蒸し器で蒸すのだが、白菜やレタスの葉っぱを下に敷けばくっつかないし、蒸し器の隙間に人参やズキニやサツマイモを入れて蒸せば、蒸し野菜も同時にできる。 焼売が蒸しあがる10分ほどの間、テレビのニュースをみる。オーストラリアでも、2月中旬現在、コロナウイルスのニ
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網戸をつける
2019年2月3日 メルボルンはまだ夏。冬の日本から戻ってきた女房が、彼女の仕事部屋の扉に網戸をつけてくれとリクエストした。僕は、正月明けから執筆に燃えてパソコンのキーを叩いてばかりいたので(嘘ばかり)、右腕が少々腱鞘炎気味で、あまり仕事もできない。そこで、渡りに舟とばかり、仕事をサボることにして、網戸をつける作業に従事することになった。 ペンキを剥がしかけの古い網戸 ペンキが剥がれかけの、醜い表面 網戸をつけるのは、彼女の部屋から庭に出入りするドアだ。ちょうど2、3年前の粗大ゴミの時に拾ってきた古い木製の網戸ドアがあったので、これをリサイクルすることに。ところが、これが思ったより10倍大変だった。網戸を洗うのと汚いペンキを剥がすのに5日、取り付けに2日かかってしまった。 古いペンキは剥がさなくても、そのまま上から塗れば良かったのに、うっかり缶に少しだけ残っていた剥離剤を一部に塗ってしまったことが最大の災いになった。剥離剤を塗ると、わらわらとそこのペンキが剥がれだす。そこで、もう後には引けなくなり、全部剥がすことになってしまった。剥離剤が足りなく
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お蕎麦の束について思うこと
2019年1月14日 2019年になってしまった。読者のみなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 庭のブルーベリー 昨12月は東京で過ごした。滞在はいつもの調布M城さん宅である。3週間半ほど滞在し、忘年会の酔っ払いが街に溢れ出す頃、メルボルンに帰ってきた。家族はまだ日本に滞在中なので、1月の半ばまでは一人暮らしだ。 東京の雑踏に比べると、メルボルンは実に静かだ、というのが帰国した第一印象だった。たとえ都下調布であったともしても、駅前に出てざっと180度を見渡した限り、視野に少なくとも400名くらいの人が目に入る。新宿駅の構内ならば常に2000人くらいは視野の中にあるだろう。ところが、私がメルボルンで暮らしているベルグレーブだと、駅に行って見渡しても、視野に入る人は10名くらいのものだ。夏休みの今、学校に通う子どもたちもいないから、もしかしたら2名くらいだ。 セロリは元気になっているが、一人ではこんなに食べられない そんな静かさの中で一人暮らしをしていると、3日くらい誰とも口をきかないで済んでしまう。時に、世界に取り残
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「ポテチ死」という死に方はどうなのか?
2018年11月28日 今年は中盤から、どうも体調が思わしくなくなった。ことの起こりは胃だ。晩秋ごろ(オーストラリア、メルボルンの話だから4月ごろ)から胃の具合が悪くなった。加えて、7月くらいから喉の具合もおかしくなった。腫れぼったくて、スッキリしない。医者は、冬場の風邪が治らずに炎症を起こしているのでしょうと言う。8月、今度は仕事で酷暑の日本に行った。すると、季節の逆変と夏の暑さからくるストレスで、体調はもっとひどくなった。ある時、知人と都心で昼飯を食っていたら、喉が干上がって苦しくなった。 その夜ミニ同窓会があって、中学時代の同級生と青山の蕎麦屋で飲んだ。まだ喉はおかしいし、胃も重い(酒なんか飲んでる場合か!) すると口の悪いU君が、「お前、声が変だぞ。俺の親父は喉頭癌で死んだが、ちょうどそんな感じで声が変になって、最後は声が出なくなって死んだ。早く病院にいけ」と言った。気分は最悪だ。 そこで、とにかく医者に行くことにした。だが、僕は、日本に住んでいないから健康保険もない。でも、手遅れになったらことだから、調布駅前の耳鼻咽喉科に行った。医者は
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ブリスベンまで 。 あるいは、空港ですごす優雅な日曜日
2018年9月30日 息子の所属するサッカーリーグの決勝戦を観戦するため、クイーンズランド州ブリスベンに4泊5日間行くことになった。息子は州代表チームのフォワードとして出場する。ブリスベンまで、息子はチームメイトたちとカンタス航空で飛び、私と女房はタイガー航空という格安会社で行くことになった。2時間半の空の旅。どちらも朝7時ごろ発の便なので、空港に5時半に着くように、まだ暗いうちに起きて、えっさかほっさか家を出た。ところが出たとたん、うす暗い山道で、でっかいカンガルーが、よろよろと道のまんなかに登場。突然だったので、急ブレーキを踏んだが間に合わず、「ドーン!」と接触!「ああ、やっちゃった」と、すぐに車を止めてカンガルーはどこかと見渡したが、姿が見当たらない。どこかにそのまま走り去ったらしい。何とタフなやつ!幸い、車のフェンダーもつぶれてない(みたいだったが、暗くてよく分からない)。これが人間だったらシャレにならないが、急ぐので空港へ。 空港では、長期パーキングへ車を入れ、出発ターミナルへ。もうチームメイトたちが集まっている。息子をチームに預け、私
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「調布化」していく私
2018年8月22日 用事ができたので、冬のメルボルンから日航の直行便で飛んで、8月の日本で3週間過ごした。滞在は都下は調布市、いつもお世話になるM城さん宅である。M城さんは古い友人で、彼は単身赴任の身だから、それを良いことにエアビー代わりにお宅を使わせてもらっている。M城さんによると、彼の奥さんより私の滞在の方が、頻度も多く期間も長いらしいというから恐縮してしまう。もはや日本に実家もない「孤児」の私には、彼の親切は本当にありがたい。 帰国に際し、東京では、仕事(絵本の出版)がどかどか入り、毎日のように昼前ごろから出かけて都内で誰かとランチを取り、午後は打ち合わせや講演会、夜も誰かと食事をしつつ仕事の顔つなぎという日々だった。冬のメルボルンから酷暑の東京は、かなり堪えた。普段は、メルボルンで静かな暮らしなので、東京の雑踏を歩くのにも神経を使う。 そんなだから、仕事の合間に調布のM城さん宅でのんびり過ごすひとときは、癒しの時間だった。過去に私は、調布という場所についてずいぶん手厳しいことも書いたが、実はこの町に愛着を感じてきているからこそであって、
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親父たちが集う町、ベルグレーブ
2018年5月24日 うかうかしていたら、メルボルンもどんどん寒くなり、僕はヒートテックのズボン下を履いている。ズボン下を履くと、季節が変わったなと感じる。 昔、ズボン下は、股引とも呼ばれていた。子ども時代から青年時代にかけて、どんなに寒くても、股引など履くのは恥辱であって、そんなものを着用するくらいなら死んだほうがマシだと思っていた。ズボンの裾から、白い股引がちらっとのぞくなんてのは死刑宣告だった。しかし、いつの間にか自分も股引が欠かせない親父になっている。今は、死なないために股引を履いているのだ。生きていれば、思想を逆転させなければならない時がきっとくる。 昨年末、同じような話を、四国松山の飲み屋でそこのマスターと話していたら、横で聞いていたアルバイト学生が、「モモヒキって何ですか?」と聞いた。その時、股引が死語であることを悟った。 で、そんな親父の僕は、ほぼ毎日、夕方になるとベルグレーブの町(というか、村だな、ここは)の中心にあるウルワースというスーパーで買い物をする。ここには親父やおばさんが、たむろっている。特に親父が多い。なぜオーストラ
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40年で大木
2018年5月4日 メルボルンも秋。うかうかしていたら、もう五月。今年も3分の1が終わったしまったのか。やれやれ。でも、焦ったって仕方がない。マイペース、マイペース。 いつも朝30分ほど散歩に行くが、その時、よくすれ違う近所の人たちがいる。ベルグレーブに住んで18年になるが、こちらは田舎でも日本ほど近所付き合いをしないから、あまりたくさんの人は知らない。でも、この頃よくすれ違う60歳後半くらいのおじさんがいて、ある時話しかけられて、それ以来仲良くなった。 名前はクリス、スイス人だった。なぜ話しかけてきたかと言うと、僕の車庫にある制作中のボートに興味を持ったからだ。「あれは、お前が作ってるのか?」「そうですけど、今は一緒に作っていた息子が興味を失っているので中断中。」「ヨットかモーターボートか?」「モーターボート。でも、まだエンジンは買ってないし、免許も持ってない。」「船の材料は何だ?」「合板とファイバーグラス。」「自分で設計したのか?」「とんでもない。イギリスのビルダーから設計図を買ったんだよ」と、こんな会話だった。クリスとは週に一回くらいすれ違
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メルボルンでも、秋は食べ物が美味しい季節
2018年3月14日 メルボルンの夏が去って、秋がきた。秋は食べ物が美味しい季節であるのは、日本でもオーストラリアでも変わらない。日本の食材の豊富さには負けるかもしれないが、オーストラリアでも、旬の魚や野菜が見事に色づく季節だ。 メルボルンから100キロ南へ行くと、ジーロンという街があって、そこに日本人の友人のK松さん一家が住んでいる。そっちの方で、ここのところイカが釣れているというので行ってきた。僕は、イカは釣ったことがなかったから、ぜひこの機会に釣ってみようと目論んだ。K松さんは、海の近くにずっと住んでいる年季の入った太公望だから、一緒に行けば必ず釣れる。 僕が初めて釣ったアオリイカ 釣りの前夜はK松さんのうちに泊まった。夕食をいただきながら、おでんの話になった。K松さんの奥さんは大阪の人で、僕のような関東の人間とはおでんの作り方が違うのだと言う。大阪と東京のおでんの違いをここで説明するまでもないが、大阪では「おでん」と言わないで、「関東煮(だき)」と呼んだりする。それは薄いコーヒーを「アメリカン」と呼んだり、ジャガイモのフライを「フレンチフ
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今年の誕生日 2018年
2018年2月19日 この間から、また薪を割りはじめた。冬になって急にはじめたのでは間に合わない。メルボルンの2月中旬は、暦の上ではまだ夏だが、風が吹くと落ち葉が落ちてきたりして、もうそこまで秋が来ている感じがする。 幸い薪にする木のストックはたくさんある。一昨年隣家のユーカリの大木が倒れたからだ。しかし、これを割るのは一筋縄にはいかない。木が倒れてから2年目だから、丸太はすっかり乾燥しているのだが、丸太を切り分けてくれた木樵たち(オーストラリアでは、tree loppersと言う)が、あまり小分けに切ってくれなかったせいでなかなか割れない。また、枝が生えていたところは節目になっているから、斧を入れても易々とは割れてくれない。ちなみに、薪を割るには、刃が薄い普通の斧(アックス)ではなくて、刃は鈍くて重さのある、斧とハンマーの合いの子みたいなウッドスプリッターと呼ばれる斧を使う。他の木材の場合は知らないが、ユーカリとかレッドウッドなどは、嵩があって固くて重たいから、そういう道具でないと割れない。 なかなか割れない石頭の薪 だから、ここらの薪割りとい
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