ふるやのもり
- 鉄太 渡辺
- Jun 2
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2026年6月1日
もう六月。日本は猛暑日があったり、台風がもう来たりして今年も暑そうな夏に向かっている様子を、メルボルンの私は1日遅れのNHKニュース(こちらのSBS放送で放映される)でみている。メルボルンは、冬がやってきて寒いのだが、平均気温をみてみると、こちらも毎年のように記録破りの暖冬のようだ。どちらも、あまり芳しくない傾向だ。
メルボルンの町外れ、ダンデノン山の家に住むようになって25年たった。この家は、最初に建てられたのが1950年代と聞いているから、築7、80年は経つ。その間に増築され、屋根や壁も修繕されているから、それほど古い感じはしない。でも、やはりくたびれている箇所はたくさんあって、次から次へと不具合が出てきて油断できない。

薪ストーブのカバーを外す

日本の民話に「ふるやのもり」という話があるが、絵本にもなっているから知っている人も多いだろう(『ふるやのもり』瀬田貞二再話、田島征三画、福音館書店など)。これは、森の奥の古い家の雨漏りの話だ。おじいさんとおばあさんが夜更けに炉端で、「ふるやのもりはおそろしい」と嘆いたら、それを聞いた屋根裏の泥棒と狼が、雨漏りのことを恐ろしい怪物だと勘違いする物語だ。滑稽な話だが、私は子ども時代この話がとても恐ろしかった。
メルボルンの冬は雨が多くて、じくじく寒い。私の古家も、トタン屋根のあちこちが錆びてきているので、ときどき雨漏りする。まだ屋根全体を張り替えるほどではないから、その都度雨漏りの場所を突き止めて、その場しのぎの修理をしている。一年位前からは、薪ストーブの煙突の近くから漏れ始めたのだが、どこから漏れているのかちっとも分からなかった。壁にはシミができるし、電気の配線が濡れて停電したり、床が湿ったりして被害が大きかった。梯子をかけて、屋根と壁の隙間を覗いたり、ストーブの煙突の覆いを外して屋根裏を点検したりしたが、どうにも分からない。

しばらくは諦めていたが、雨漏りが止まるわけもなく、雨降りのたびに水がちょろちょろ壁を伝って落ちてくるのを腹立たしく思っていた。そこで先日、今度こそ見つけてやるぞと決心し、屋根に登った。つぶさに調べたら、米粒くらいの大きさの穴が煙突近くに見つかった。これくらいの穴でも、大雨が降れば漏水はけっこうな量になる。私は、「とうとう見つけたぞ!」と喜びの声を挙げ、穴の周りをきれいに拭いてからシリコン剤で穴を埋めた。さあ、後は雨漏りが解消したかどうか、雨が降るのを待つばかりだ。
ふるやのもりは、恐ろしい!




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