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太めが良いか細めが良いか


 

2025年4月24日




愛車ダイヤモンド号
愛車ダイヤモンド号

 細めよりもちょっと太めが好きである。と言っても、女性なんかの話ではなくて、自転車のタイヤの話だ。


私の持っている4台の自転車には、どれもやや太めのタイヤがついている。タイヤは細い方が転がり抵抗が少なくて効率は良いのだが、乗り心地は悪くなるし、悪路では乗りにくい。私はレース派じゃなくて、ゆっくり田舎道を走るツーリング派だから、太めのタイヤをのんびり転がして走るのが性に合っている。テクニカルな話になるが、レース派の人のタイヤは、幅が23ミリとか25ミリなのだが、私の持っている自転車のタイヤは、35ミリとか40ミリなのだ。これはかなり太い部類に入る。

 



さて、イースター(復活祭)休みも終わったので、秋の山を眺めにウォーバートントレールという自転車道を走りに行く。我が家から車で30分ほどいけば、トレールのちょうど中間のセビルという村に着くので、そこから終点の山間の村、ウォーバートンまで25キロ、往復50キロを走るのだ。これはもう何度走ったか分からないから、目をつぶっていても走れるくらいだ。片道1時間半のほぼ真っ平らなコースで、たいがい真ん中にお昼をはさんで走ってくる。

 



私は日本に帰国した時も、いつも輪友のT村という男と日本の田舎を4、5日走る自転車旅行に出かけるのだが、メルボルンではほぼいつも孤独に一人で走っている。たまに自転車を持っている友達と一緒に行く事もあるが、はるかに一人で走ることが多い。それだけでなく、日本とオーストラリアでは私のサイクリングの傾向は大いに違っている。日本では、行きたい場所に畳んだ自転車を担いで飛行機や列車で移動し、そこからぐるっと旅して回る。四国、山形、青森と秋田、長崎、浜松、大井川、奄美大島などを近年は走ってきた(私の過去ブログを参照のこと)。一方オーストラリアでは、メルボルン周辺の自転車専用道を行ったり来たりしているだけだ。せっかく広いオーストラリアにいるというのに、行動範囲は日本でよりもずっと狭い。

 

その理由は、オーストラリアの普通の道路は、自動車の走行速度が格段に速いので、恐ろしくて自転車ではあまり走りたくないからだ。市内でも60キロから80キロ、田舎に行けば100キロが普通だ。それも二車線の道路の話だ。歩行者や自転車も少ないから、自動車は路上に自転車がいるなんて、まず絶対に考えてない。だから、カーブを曲がったところに自転車がのそのそ走っていたりするものなら、サイクリストはバーンと轢かれて宙を舞い、そのまま天国に行くケースが後を絶たない。それから、オーストラリアの田舎は町と町の距離が恐ろしく離れているので、自転車で走るには根性がいる。日本なら、どんな田舎でも5キロや10キロ走れば町があり、村があり、コンビニがあり、駅もあり、宿も見つかるが、オーストラリアでは、50キロ走っても100キロ走っても店も何もない場所が多い。それでも、そういう所を命がけで走っているサイクリストもあるが、私はもう若くもないので、そういうところを走りたいとは思わない。

 


砂利道を行く
砂利道を行く

そこで私は、メルボルンでは、市内および周辺の自転車専用道を専門に走っているのである。幸い、メルボルン周辺には自転車専用道が網の目のように整備されているので、行く先は結構たくさんある。ただ、難を言えば、決められた場所を走っているから、どことなくカゴの中の鳥のような気分は否めないが。

 

それでも私は自転車に乗るのが好きだから、同じコースを何十回走っても飽きないのだ。特にウォーバートントレールのような田舎道は、四季の変化があるので、それを見に行くのが楽しい。メルボルンの秋は、日本の山のような落葉樹の紅葉が見事な秋ではないのだが、それでもところどころに鮮やかな黄色や赤が目に入り、楽しませてくれる。

 

ウォーバートン村まで25キロ、真っ直ぐで平らな道をほとんどギアを変える事もなくズンズン走っていくと、頭の中も秋の空のように空っぽになり清々する。まるで心の洗濯をしているような気分だ。

 


Cog Bike Cafe in Warburton
Cog Bike Cafe in Warburton

ウォーバートン村に着くとちょうどお昼だ。自転車道の脇にある、貸し自転車屋を兼ねたカフェでサンドイッチとコーヒーをいただく。この店は、コロナの数年前にオープンしたのだが、コロナで一旦つぶれて、また最近再開した。その日は平日なので、店員は女性が一人。彼女が全ての業務をこなし、自転車を貸し出したり、コーヒーをいれたり、サンドイッチを作ったりしている。自転車も、この頃はEバイクなどという面倒なものが加わったので、電源のスイッチやらバッテリーやらあれやこれで説明が多くて大変そうだ。それでも、彼女は根気強く客の相手をし、説明し、愛想も振りまいている。

 



だから私のコーヒーとサンドイッチが登場するまで30分くいら待たされたが、木の下の居心地の良いベンチで、紅葉の山を眺めながら待っていたから、ちっとも長く感じなかった。

 

メルボルンのサイクリングは、日本のサイクリングに比べると行先も多くなくて単純だが、こんな風にゆっくりできるのが良い。しかし、50キロだけとは言え、久しぶりに走ったので、最後はくたくたに疲れてしまった私だった。


疲れた私
疲れた私

 

 

 

 

 
 
 

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