メルボルンの家の隣近所
- 鉄太 渡辺
- May 17, 2025
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2025年5月17日
どこに住んでいても、隣近所との関係は大事だ。メルボルンの今の場所に暮らして25年になるが、これまで両隣とは良い関係を保ってきたと言える。
右隣のキースとシャーリーのご夫婦とは一番長い付き合いだったが、今週いっぱいで引っ越してしまった。70代も後半になり、森の中の家の維持が大変すぎるということで、近隣のベリックという街のタウンハウスに引っ越したのだ。彼らは、我が家の留守中には郵便を取り入れてくれたり、植木に水をやってくれたり、ゴミ出しをしてくれて、とても助かった。もちろん、我が家も同様にお返しをしたものだ。
左隣のマイケルとターニャ一家は、三人の子供がいる若い家族だが、こちらにもいろいろ世話になっている。マイケルはI T関係の会社に勤めているが、コロナ禍以来ずっと家で仕事をしている。その上、町の消防団のボランティア消防士だから力強い。
この間ブログにも書いたが、マイケルとターニャの家の大木から大枝が落ちてきて、うちのカミさんの新車を大破させてしまった。保険で修理できたから良かったのだが、とうとうマイケルはその大木を切ってしまう決断をした。我が家の出入り口に覆いかぶさるようにして、高さ30メールもあるユーカリの木が二本あるのだが、それを両方いっぺんに切ると言う。それも専門の業者を呼んでの作業だから何十万円もかかる。我が家としては枝が降ってきて、車ならまだしも、人に当たったりしたら大変だから有難いのだが、いささか申し訳ない気もする。そこで、「少し我が家も負担させてもらえないか?」と持ちかけてみたのだが、「いいえ、これはうちの敷地の木だから、こちらの責任です」とマイケルはキッパリと言った。



とにかく、こういう隣人は本当に有難いし、自分もこう在りたいものだと思う。
とか言っていたら、今度は、別の問題が裏の家との間で生じた。裏の家は、長らく空き家だったが、それを若い夫婦が買って、古い家を取り壊して、新しい家を建てることになった。1000坪ほどの敷地なのだが、前のオーナーが集めたガラクタが庭のあちこちに山積したのを自分達で片付けた。廃車が二台、壊れたモーターボート、壊れたキャンピングカー、その他の廃材多量。アスベストでできた小屋もあったから、片付けは大変そうだった。
これらを少しずつ片付けたが、それでも最後にかなり大量の切り株や木材の山が残った。まさかこれを燃やすんじゃなかろうな、と勘繰っていたら、案の定新しいオーナーの父親という人が現れて、この廃材の山を燃やし始めた。
それは、今世紀最大とも言えるような、巨大な焚き火だった。我が家との間には10メートル以上の距離が開いているが、煙たくてたまらない。そこで挨拶も兼ねて出ていって、このオトッツァンに話しかけた。

こういう時は、どんなふうに話しかけるかが難しい。いきなり「こんなでかい焚き火をされちゃあ、危ないし、煙いから困るんだなあ」とか言ったりしたら、角が立つ。
そこで私はニコやかに、「大変ですなあ、これだけ燃やすのは。これだけあると、しばらく燃え続けるんでしょうねえ」みたいな感じで話しかけた。まずは相手はどういうつもりなのか探りを入れるのだ。
「いやあ、まずバアッと廃材等を燃やしちまって、火が落ち着いたら、そこにある小型のブルドーザーで、空気穴を残して土をかけちゃう。それでブスブス燃やせば、明日の朝には燃えるものは全部燃えちゃうから。私は、今夜遅くと明日の朝には焚き火がどうなっているか、また見にきます」という返事だった。
しばらく立ち話をしたが、このお父さんは、メルボルンから300キロ東のギップスランドで果樹園をしているという。その前は、西オーストラリアの鉱山で重機の運転手をしていたという。
「農場だから、こういう焚き火はよくやっているんだよ」と余裕のヨッチャンという風だ。

まあ、それならば100%安心とまで行かないにしても、私も、いきなり苦情を言ってから消防署に通報することはとりあえずしないことにした。一応、隣の消防士マイケルには、「裏ででっかい焚き火をやっているけど、どう思う?」と聞いたのだが、マイケルは、「そういうでっかい焚き火は、本当は届けてからやってもらいたいんだよなあ。消防車を出しちゃうと、2000ドルの罰金なんだぜ。でも、まあ大丈夫でしょ」というノリであった。
私としては、その晩は隣の敷地で桜島の火山のような大きな焚き火がブスブス燃えているから、あまり熟睡はできなかったのだが、案の定、朝には大半が灰になっていた。その上、隣のオトッツァンは、ブルドーザーでその灰の山も綺麗にまとめてくれたから、それで一件落着となった。やれやれだ。
とにかく、オーストラリアの田舎に住んでいると、こういうことはよく起こるので、多少肝っ玉が大きくなるかもしれない。というか、私の場合は、肝っ玉よりも血圧が少し高くなるのだが。近所との関係を良好に保つには、まずは我慢、忍耐、容認ということが秘訣ということだろう。お互い、持ちつ持たれつなのだから。





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