夏時間と冬時間
- 鉄太 渡辺
- Apr 10
- 3 min read
2025年4月10日
4月6日の日曜日早朝2時、メルボルンのあるビクトリア州は、夏時間(Daylight Saving Time)から冬時間(Standard Time)に変更した。時計を1時間戻すから、朝起きた時に、本来ならば7時のはずがまだ6時ということになる。だから1時間朝寝坊ができる。メルボルンで暮らしていると、年に2回時計を戻したり進めたりする日がある。次の時は、10月の最初の日曜日朝3時に、今度は時計を1時間進める。

ずっと昔、日本から来たばかりの頃は慣れてないから、時計が1時間変わったことに気が付かずに、1時間早く待ち合わせに行ったり、1時間遅刻したりしたこともあった。今は慣れてしまった。ところが正直なのは体内時計で、1時間でも変わると違和感があって、例えば、午後のコーヒーを1時間早く飲みたくなったりする。

推理小説の読みすぎかもしれないが、この日の早朝に殺人事件があったとしたら、アリバイがややこしくなるかもしれない。午前2時に時計を1時間遅らせるのだから、その日だけは午前2時が120分あることになる。あるいは、午前2時が2回あると考えてもいい。午前2時5分に殺人事件があったとしたら、それは最初の午前2時5分なのか、後の午前2時5分なのか、どっちなのか。推理小説家ならばきっと面白い事件を考えるだろう。
そこで調べてみたら、やっぱりそういう小説があった。Edward Hoganというイギリスの作家が書いた、その名もずばりDaylight SavingというY A向けのミステリーだ。どんな話なのか知らないが、そのうち読んでみよう。

日本語で夏時間、冬時間というと単純だが、英語では夏時間の方をDaylight Saving Time(日照時間節約時間)と呼ぶ。夏場は、少しでも日照時間を長くして、スポーツやレジャーの時間を増やそうという考えだ。それに比べて、冬時間はStandard Time(標準時間)と呼ぶが、こっちは味気ない。冬の立場は、どこの国でもあまり良くないのかもしれない。
季節のことをもう一つ書くならば、ビクトリア州は一応四季がカレンダー上で定められていて、夏は12月から2月まで、秋は3月から5月まで、冬は6月から8月、春は9月から11月までとなっている。各季節3ヶ月ずつ、キッパリと分けられている。
しかし、日本人の私としては、こういう3ヶ月ごとにスパッと分けてしまうやり方は味気ない。あの日本の四季の曖昧さが性に合う。立春とか春分とか梅雨とか冬至とか色々な細かい分け方をいちいち覚えているわけではないけど、旬の食べ物を食べ、お風呂に菖蒲や柚子を浮かべてみたりして季節を感じる。メルボルンにも、多少そう言う季節感もなくはないけど、スーパーでは冬でもスイカを売っているし、そのスイカを買うバカもいる。そういう光景を見ると途端に日本が恋しくなる。
文句を言っても始まらないが、メルボルンも朝は一桁台の気温になり、グンと秋らしくなってきた。そこで、せっせと朝夕散歩に出歩くのだが、暑い夏の間には出くわさなかった隣人にしばらくぶりで顔を合わせたりして嬉しいこともある。

秋になって、メルボルンの町はずれの山に住んでいて良いことは、庭で焚き火ができることだ。焚き火は、山火事防止のために、夏は禁止だ。その年の気候にもよるが、今年は5月1日から焚き火をして良いというお達しだ。あと二週間ちょっと。だから、その日を心待ちにして、庭の落ち葉掃きをしたりしている。薪ストーブはいつでも焚いて良いから、薪を切ったりもしている。エンジン式のチェーンソーも持っているが、やかましくて嫌いなので、暇な時にノコギリで丸太をギコギコ切っている。直径20センチの丸太でも、250回くらいギコギコすると切れる。だから一回に50回ギコギコして、それを5回繰り返すと丸太が切れる計算だ。

とにかく、4月の復活祭前後というのが、メルボルンでは私が一番好きな時期かもしれない。




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