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いろんなことがあったよ、ロックダウン

2021年10月21日


メルボルンのロックダウンが、いよいよ明日10月22日で明けようとしています。


ビクトリア州のワクチン接種率も二回目接種が70パーセントに至ったからです。今回明けるのは6回目のロックダウンで、8月5日に始まって以来2ヶ月半に及びました。おかげでシティに住む娘にはずっと会えずじまいです。昨2020年3月30日以来、メルボルンのロックダウンを全部足すと合計245日間になるそうで、ブエノスアイレスを抜いて世界最長になったそうです。そんなことが自慢になるのか分かりませんが、メルボルンの住民はロックダウン最終日の今日、さまざまな思いを胸にしていることでしょう。


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(ロックダウン中に充実した近所の古本交換ライブラリー)


ロックダウンが明けて、生活がだんだんまた元に戻っていくのは本当に嬉しいことです。今年の後半になってワクチン接種も進み、私も接種を二回して、晴れてデジタル接種証明を携帯電話に入れて持ち歩くようになると、だんだん希望が見えてきた気がします。日本も含めた海外の状況もだんだんコロナ以前の状態に近くなるのにも励まされます。


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(ロックダウン中、二回くらいパソコンが壊れて往生した)


ただメルボルンの場合、ひとつ心が痛むことは、ワクチン接種が進むにつれて、色々な理由でワクチン接種をしない人たち、できない人たちが社会から取り残され、阻害されていく面もあることです。メルボルンはロックダウンが明けても、接種をしてない人たちにとっては、実質的にロックダウンが続くことになります。それも、2ヶ月なのか3ヶ月なのか半年なのか、先の見えないロックダウンです。みんなが普通の生活を享受している中で、自分は店にも入れない、それはかなり絶望的な状況ではないでしょうか。


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(芝を刈っても、すぐにタンポポの花が出てくる。打たれ強い人たち)


自分の意思で接種を受けない人たちは、日本的な言い方をすれば自己責任ですから、仕方がないとも言えます。少なくとも、政府やメディアは、そういうメッセージを強力に流しています。それは、ワクチン接種を推し進める上で仕方ないのかもしれませんが、かなり強引な方法ではあります。私の知人や友達にも、多くはありませんがワクチン接種を受けない、受けられない人たちがいます。その人たちには、それぞれに理由があり、その理由は一様ではありません。しかし、今のオーストラリアの政府や社会には、個々のそういった理由に耳を貸す余裕はほとんどありません。一方、こういった人たちは、私の知人の場合ですが、この状況を粛々として受け止め、忍耐強く状況が変わる覚悟でいるようです。自分の意思で行っていることとは言え、大変だろうなと想像します。


そんな中、身近にあったことで残念だったのは、友人のWさんが、ワクチン接種をしてないせいで、友人サークルと仲違いしてしまったことです。こんなことは稀なケースかもしれませんが、こんなことでと、憤りを感じます。ただ、難しいのは、Wさんと友達サークル側の双方の言い分を聞きましたが、どちらにも言い分はあり、どちらが悪いとは全然言えないことです。通常だったら、この程度の意見の違いは十分乗り越えられるのに、 この状況が人と人を分断している、そんな感じなのです。


他にも、接種を受けてない知人がいます。あるご夫婦ですが、 二人とも接種しないがために辞職することになりました。二人の職場が接種を強制することになったからです。これは深刻な問題です。仕事を失っても自分の主張を通すその姿に正直びっくりしましたが、そういう意識や感受性は人によって大いに異なるのでしょうから、私には、そのご夫婦の考えを批判することはできません。


その他にも接種してない知人がいます。ちょっと感情的ではないかと思えるケースもありますが、私は、誰かを罰する立場にあるわけでもないし、どちらかの方向へ導く指導者でもありません。ただ友人として、その考えを尊重し、その人たちの友人としてあり続けようと思うだけです。


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(近所のベーカリーのグラフィティ)


そのことで、近所のカフェのオーナーと立ち話をしました。彼は、明日以降、ワクチン接種した人には接客できて、してない人はお馴染みさんでも入店を断らなければならないという辛い立場にあります。 そのことをこう話していました。


「俺はこういう決まり(接種した人しか接客できない決まり)は、一時的なものにせよ馬鹿馬鹿しいと思う。でも、守らないと罰金を3万5000ドルも取られるから、法律は守って商売はするよ。でもね、法律を破らずにどんな人にも接客できる方法がみつかれば、そうするよ。だって、誰かの肩は持って、誰かの肩は持たないなんて、そんな商売はしたくないからね。


 ちょうど今の状態は、オリンピックをやっていた時みたいだよ。どの競技が面白いとか、どの国を応援するとか、誰しも夢中になって、いっとき競技の批評家みたいになっただろ。でも、終わっちゃえばそんな話題は一切出なくなるんだ。


 ワクチン接種だって同じだよ。したとか、してないとか、今は大騒ぎだけど、ほとぼりが覚めたら話題にもならなくなるよ。でもね、時間がたっても、俺の店が誰の肩を持ったかってことは、地元のお客さんは忘れないよ。友達だって同じだろ? あんたの考えを誰かが批難したりしたら、あんたはそれをずっと覚えてるだろう?だから、俺は、どんな考えがあっても、どの側にも立たないよ。」


オーストラリアのワクチン接種率は90パーセントに近づきつつあります。でも、逆に言えば、10%は非接種のままです。その人たちを積み残した形で、社会は先へ進んでいくわけです。そうやって進んで行かざるを得ないのかもしれません。


でも、私は何であっても、Wさんの友達でいたいと思っています。ワクチン接種をしようがしまいが、Wさんと友達であることは私にとっては大事なことですから。


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(いつも友達には野菜の苗をもらうので、たまにはあげたいと思う。これはブロッコリの苗)


ロックダウンも長かったから、いろんなことがあったなと、そんな感慨を持っています。

 
 
 

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