シュタイナー学校の卒業式
- 鉄太 渡辺
- Nov 21, 2021
- 3 min read
Updated: Jan 16
2021年11月21日

オーストラリアの年度末は11月後半から12月にかけてなので、うちの息子の高校の卒業式も先週ありました。息子はシュタイナー学校に行っていたので、普通の卒業式とはちょっと違う趣の卒業式でした。
どんな感じかと言うと、まず卒業式の前夜、卒業生たちは幼稚園から11年生まで、下級生の教室を色々な風に綺麗に飾りつけます。これは、「どうかみんな元気でね。これまでありがとう、また会いましょう!」と言ったメッセージを込めて行う伝統です。

だから、卒業式当日は、下級生たちは自分たちの教室がどんな風に飾られているか楽しみに、ワクワクしながら登校します。卒業生たちは、登校すると最後のホームルームをして、ロッカーの片付けなど。それから、卒業生と先生たちは、親たちも交えてモーニングティーで歓談です。茶話会というやつですね。でも、スピーチとか挨拶は一切なし。メルボルンはやっとロックダウンも明けたので、こういう集まりも、野外ならばほぼ人数制限なしに行えるようになりました。いやあ、良かった、良かった。

それから、全校生徒と親と先生たちが、全員校庭に集まります。これが卒業式のメインイベント。まず、担任が、生徒一人一人について、12年間の学校生活の間にどんなことが印象に残ったか話します。これが1時間くらい。メルボルンのこのシュタイナー学校では、同じ先生が8年間は担任を務めるから、話すことがたくさんあります。その話は、スポーツの試合で頑張ったとか、文化祭で研究発表をしたとか、そんな真面目な話じゃなくて、「キャンプの時、誰々がテントから抜け出して、女子のテントに忍び込んでいるところを捕まえた」とか「シェークスピアの勉強をしたときは、誰々が「腋の下の毛」という詩を書いたが、それは実に良く書けていた」とか、そんなおかしな話ばかり。
担任の先生の話の後は、今度は卒業生自身の話。生徒の話も真面目な話はちっとも出ませんでした。「キャンプのロッククライミングの授業とき、先生が、危ないから崖の上からウンコをしちゃいけないと言ったので、わざわざ夜になってから友達と二人で、崖の上にウンコをしに行った。そしたら僕のウンコはちゃんと下に落ちたけど、友達のウンコは変なところに引っかかって、崖下に落ちてくれなくて困った」とか、「どこどこのキャンプに行った時は、野ヤギがたくさんいたから、みんなで一頭捕まえたんだけど、先生が屠殺してくれなかったからヤギが食べられなくて残念だった」とか。そんな話ばかりなのに、最後は少ししんみりでした。式の最後は、先生たちのギターの伴奏で、ルイス・アームストロングの「この素晴らしき世界」などを歌って終わり。

そして、最後の最後は、「農夫のピート」と呼ばれる、畑が担当の名物先生が運転するトラックに卒業生が乗って、手を振り、下級生たちにアメを振りまきながら学校を去るという趣向。

うちの息子曰く、「小さい時はシュタイナー学校も楽しかったけど、高校生になってからは、もっとスポーツとかビジネスとか、そういう科目をたくさん選べる普通の学校に行っても良かったな」。

現在の息子的にはそういう感想ですが、親としては、「全く贅沢なことを言うやつだなあ。そんなこと言ってるけど、あんた、けっこう楽しんでたんだから良かったんじゃないの?」と、そんな意見です。





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