ピントが合ってないといけないか?
- 鉄太 渡辺
- Apr 24, 2022
- 4 min read
2022年4月24日
4月頭、とうとうコロナに罹ってしまった。メルボルンの六人に一人がコロナに感染しているという話なので、もはや珍しいことではない。娘の大学院の卒業式の際、お祝いの食事を家族で食べに行ったら、ものの見事に娘からもらってしまった。まさに、「うつるんです」ってやつ。うつる時は、実に簡単にうつるもんだ。そして私から妻にもうつしたし、息子は2ヶ月前にもう個人的に罹っていたので、我が家は全員が感染したことになる。
コロナになってみて、最初嫌な感じだったのは、どれくらい具合が悪くなるかが分からなかったことだ。症状が全く出ない人もいる一方で、亡くなる人もある。私の場合、そのスケールのどれくらいまで行くのか?という恐怖感がややあった。PCRテストで「陽性」と出てから1日2日経つと、一通り症状が出始めた(熱、体の痛み、喉の痛み、咳など)。その後、3、4日寝込んだが、やがて徐々に回復した。咳は10日ほど出続けたし、2週間経った今もまだ体が少し重たい気がするが、ほぼ回復したと言えるだろう。あまり悪くならなくて、やれやれだ。
(息子に喉の薬などを買いに行かせたら、こんなに色々買って来た。)

コロナに限らないが、今の時代はインターネットやニュースで、ありとあらゆる情報が交錯しているから、常に情報が過多になりすぎる嫌いがある。そこで昨今は、AI人工知能が情報をパーソナライズして選択してくれ、パソコンやスマホに届けてくれる訳だが、これもいささかありがた迷惑で、一体どういう基準で情報が選ばれているのか全く訳が分からんことも多い。やはり、情報というのは、自分でできるだけ取捨選択したい。
私は、還暦を今年迎えて、ジジイの領域に入ったせいか、マニュアルなものをより一層好む傾向になってきた。昭和生まれ育ちのせいもあるだろう。話が長くなるから細かいことは端折るが、私の明治生まれの祖父は写真屋だった。だから、私の父も写真が割に好きだった。そのせいか、この頃私もカメラをいじるようになった。昨年ミラーレスという種類のカメラを買ったのだが、これは全く素晴らしいカメラで、露出もピントも何かも全自動でやってくれる。wi-fi機能もついている。しかし、このカメラのもう一つ素晴らしいところは、そういうことをすっ飛ばして、全部マニュアルで撮ろうと思えば、それも可能というところだ。そこで私は、あえて安いマニュアルのレンズを購入し、露出も手動、シャッタースピードも手動、ピントも手動で写真を撮る練習を重ねている。明治生まれの祖父ほどではないが、なるべくそこに近づこうという魂胆だ。
しかし、これがなかなか難しいのだが、ネットフリックスでユージン・スミスという写真家が主人公の『ミナマタ』という映画を観て、昔のカメラマンのかっこいい姿を見たから、かなり練習に拍車がかかっている。コロナの隔離療養生活も無事に終わったし、パチパチ写真を撮りながら散歩などしている。
アイフォンなどに慣れた人には分からないだろうが、手動で被写体にピントをピシッと合わせるのは難しい。私は、近眼、遠視、乱視、その上老眼も加わっているから、ピントが合うなど奇跡かもしれない。それだけに、シャッタースピード、露出、ピントがピシッと合って、いくらかは思うような写真が撮れた時は、ストライクボールを投げたような快感がある。有名な報道写真家のロバート・キャパの著書は『ちょっとピンボケ』というタイトルだったと思うが、ピンボケでも、味のある写真はある。人生なんて100%上手くなんかいかないんだから、ピンボケもまた面白し、ということなのだろう。
私のような下手な横好きでも、たくさんパチパチ写している間に、割と瞬時にピントを合わせられるようになってきた。オートフォーカスなどというものに頼らずに、手動でピントを合わせる芸というのもなかなか奥が深い。動くものは、私にはまだ難しいので、電信柱など、動かないものの写真を中心に撮っている段階だ。
修行の道は険しい。
(「電信柱写真」というジャンルを開拓しようと思っている。)

(ペットの写真も、なかなか難しい。うちの猫は、カメラを向けると、すぐ向こうを向いてしまう。)

(これは、娘が飼っている犬だが、犬はやたら動くので、なかなかピントが合わない)。

(これはまぐれの一枚。自転車の写真ももっと撮りたいのだが。)





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